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新規就農応援事業

新規就農応援事業の実施概要

特集1山形県 JAさくらんぼひがしね・天野真智子さん

「一から手をかけて、実がなり、赤くなって収穫できた時の喜びは想像以上に大きかったですね。サクランボを選んで良かったと実感しています」

山形県東部、東根市の天野真智子さんはサクランボを作っている。就農3年目にして初めて迎えた収穫に思わず顔がほころんだ。

実家はサクランボと米を作る同市の農家。しばらくサービス業に勤めていたが、自然の中で四季の彩りを感じながら働きたいと強く思うようになり、就農へ。当初は野菜を選び、県内のトマト農家で研修した。

「実は研修を通して、あらためてサクランボに魅力を感じる自分自身に気づいたんです。収穫期間の長い野菜より、年1回の収穫に力を注ぐ果樹の方が、達成感があるかもって」

同市はサクランボのトップブランドである「佐藤錦」発祥の地。ブランドを支える高い技術力を連綿と受け継ぐ伝統産地だ。天野さんにとって小さい頃から空気のように身近なサクランボ栽培は、自然とアイデアが浮かんでくるという。「自分の思いを形にできる経営者としても、農家になって本当に良かったと思います」

天野さんの良き相談相手であるJAさくらんぼひがしね営農渉外課の渡辺豊さんは日ごろから、農家個々の経営に合わせた提案をしようと、栽培面だけでなく幅広いコミュニケーションを大切にしている。

「天野さんのように、何かと物入りな新規就農者にとって、汎用性の高い新規就農応援事業が、とても喜ばれています。JAにとっても、なじみの薄い農家さんを訪問するきっかけになりますし、この事業を通じて新しい提案を行うなど大いに役立たせていただいています」

天野さんはJAのサポートに感謝しつつ、少しでも地域の力になりたいと、JAが紹介した後継者不在の園地を引き受けて、桃の栽培を始めている。サクランボでは今よりも作業の効率化や省力化を求めて新しい栽培法にも挑戦する。農家として地域に溶け込み、経営を軌道に乗せようと奮闘する中、女性農業者がもっと増えてほしいと思うようになった。

「女性は重労働に向かないし、日焼けも気になります。子育てとの両立も悩みどころ。だけど、例えば力仕事ができないからこそ省力化の新しいアイデアが生まれるかもしれません。女性らしさを前向きに、生かしていきたいです」

初収穫を迎えた年。一番うれしかったのは園地の一角にシートを広げ、新緑の木漏れ日を浴びながら子どもと一緒にお弁当を食べられたこと。天野さんは「子どもがサクランボ農家になりたいと言ってくれるような、農家になっていきたい」と目を輝かせた。

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