新規就農応援事業
新規就農応援事業の実施概要
特集2岩手県 JAいわて平泉・小山健さん
岩手県一関市の小山健さんは26歳の時にサラリーマンを辞めて、地元でトマトを作り始め、3年になる。実家がトマトを作る農家でなじみがあるとはいえ、自身が思い描く形に少しでも近づけたいと、栽培に励む日々を送る。
就農する前は地元の自動車工場に勤めるサラリーマンだった。東日本大震災の影響で予定した転勤がなくなるなど、地元に残る巡り合わせとなった。「自分が主体的に働くことができる農家の方が合っているかも」と、次第に新たな人生を歩む決意を固めていった。「農家をちゃんとやれば、きちんと生活していける収入が得られるということは見えていました」とも。何より、トマトを作り、家族を養ってきた父の姿が背中を押してくれた。
実家を手伝いながら1年間栽培技術を学び、山あいの農地を借りてハウスを建てた。ハウス建設に当たってはJAいわて平泉の支援が大きかった。国の有利な補助金の情報提供があり、JA独自の支援もあった。このほかにもJAでは新たな担い手確保策の一環として、定着を視野にスムーズに就農できるよう、JAが就農希望者を臨時職員として雇い、農家に派遣して作業を手伝いながら栽培技術や経営全般を学んでもらう取り組みを進めている。
県段階でもJAいわてグループが担い手サポートセンターを設置し、JAの取り組みを後方支援する。幅広い担い手支援業務を担当するJAの栗原亨さんは、「現場の要望に沿った支援を第一に考えている。新規就農応援事業も農家から大変役立っているとの声を聞くことができ、感謝している」
小山さんのトマトは初夏から秋にかけて収穫する。4月に苗を植え、6月から11月はじめごろまで収穫を続ける。栽培は、生育に必要な管理を必要な時期にきちんと行う、きめ細やかさが基本だ。収穫量は全国平均よりかなり多い。最近は栽培の途中で与える肥料の量やまき方で特に工夫をこらす。
小山さんは「思い描く栽培を実現する上で新規就農応援事業の助成金を活用しており、とても助かっている」と話す。4年目には作る面積を増やすことも考えている。トマトの収穫時期の人手を確保するために、夏だけでなく冬にも仕事を作ろうと、ホウレンソウの栽培にも取り組み始めた。
「やっぱり空の下で働くのはおもしろいし、気持ちがいいです」。子どもたちが畑を元気よく走り回る姿がうれしい。今は2人の子育てに専念する妻、麻希さんは「最初は不安でしたが夫は頑張ってくれています。4年目からは私も力になっていきたい」と、夫婦で力を合わせていく。