JAバンクアグリ・エコサポート基金

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新規就農応援事業

新規就農応援事業の実施概要

特集1 地域農業を守る担い手の育成(長野県上田市・(有)信州うえだファーム)

信州うえだファーム
矢口哲也さん、富貴さん

長野県のJA信州うえだが出資し設立した(有)信州うえだファーム。農家の高齢化や深刻な担い手不足から地域農業を守ろうと、米や麦、大豆、野菜、リンゴ、ブドウなどを約65haで栽培し、JAの子会社として自ら農業経営を行っている。また、地域を活気づけようと、農業経営以外に食農教育活動や、観光との連携など事業を幅広く手掛ける。
担い手の確保にも力を入れており、新規就農者を育成する研修事業を行っている。新規就農応援事業などを活用して多くの研修生を受け入れ、就農後の定着を見据えてきめ細かくサポートしている。
研修生たちは2年間、栽培技術や経営管理について学ぶ。ほ場は、同ファームが借り受けた農地を使い、研修後はほ場をそのまま引き継ぐことができる。品目により、ハウスの改修や果樹の改植など環境が整えられる。独立時には住宅の紹介があるなど生活面でのサポートも充実する。これまでに約30人がJA管内で独立し、施設野菜や果樹を栽培している。

埼玉県出身で、デザイン会社などに勤務してきた矢口鉄也さんと、パティシエで妻の富貴(ふき)さんは新規就農応援事業を活用した研修を受けており、生食ブドウについて学んでいる。
鉄也さんが作った農産物で規格外が出ても、富貴さんが加工品を作る――。
2人はこれまでの職歴からモノづくりの観点で農業に興味を持ち、経験も生かせそうと考え、農業の世界に飛び込んだ。全国の研修先を見て回る中で長野の景観にほれ込み、「何よりJAの研修という安心感」(鉄也さん)があって同ファームに決めた。
鉄也さんは、「これまでのモノづくりと違い、農業は簡単にやり直しができませんが、そのことがやりがいであり、農業のおもしろさだと思っています。まずは一人前の農家になりたいです」と目を輝かせている。富貴さんも「品質の良いものを作って、農産物と一緒に地域の素晴らしさを外に向けて発信していきたいです」と意気込んでいる。
同ファームは耕作放棄地を再生するために、ワイン用ブドウの生産団地を造ったり、地域で連携してワイナリー開設を目指す新規就農者を支援したりもしている。
常務取締役の船田寿夫さんは、「農業と地域を盛り上げる、さまざまな事業を展開していく上で、新しい人の育成が欠かせません。しかし、育成には時間も費用もかかります。この事業は費用面でとても助かっています」と話している。
「これまで(のモノづくり)と、のめり込み方が違うよね」と、むつまじく視線を合わせる鉄也さんと富貴さん。農家として力をつけ、「この美しい景観をつなぐ存在になりたいです」と将来を描いている。

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